現在、世界で最も評価が高い現代美術家のひとりである村上隆さんの作品「村上隆の五百羅漢図」が現在六本木の森美術館で公開されています。日本での個展は14年ぶり、そしてこれが最後ではないかと言われており、注目度の高い展覧会です。

★村上隆の五百羅漢図
http://www.mori.art.museum/contents/tm500/

 

村上隆さんの「五百羅漢図」は全長100メートルに及ぶ超大作絵画。増上寺所蔵の狩野一信による《五百羅漢図》にインスパイアされて制作したそうです。

その元となった「五百羅漢図」が、今年4月に開館した増上寺の宝物殿にて、年内数回を入れ替えをしながら展示されます。

 

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「五百羅漢図」は今から150年前、幕末の絵師、狩野一信が10年の歳月を費やし完成させた、100幅からなる絵です。文久3年(1863年)に増上寺に奉納されました。

 

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"羅漢"は釈迦の弟子として悟りを開き、人々を救済する存在として長く信仰されてきた存在。一信は様々な過去の作例を踏襲しながら、2幅に10人ずつ、計500人もの羅漢を描く空前絶後の100幅を構想。

今回の展示(21幅〜40幅)は、生前に罪をおかした人たちが描かれる六道の世界を描いています。ちなみに六道(リクドウ)とは「地獄」「餓鬼道」「畜生道」「修羅道」「人道」「天道」です。

第22幅 六道 地獄

第50幅 十二頭陀 露地常坐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20幅をみて思ったこと。
これは人間の業の深さを表現しているのだな、と。
泣く、悲しむ、笑う、憎む、怒る、慈しむ・・・表現されるものすべてに、あらゆる表情があり、すべて美しいとは言えない、「生身」の「本来」の姿。

羅漢が見下ろす、または訪れる六道の世界に在る人間。救済するだけの価値のある生き物なのどうか、と思ってしまった。

ただ、美術として本当に緻密で表現が生々しく、心が波立つものだったので、会期中、後期が始まる前にもう一度訪れたいと思います。

追記:
戦争時に焼失した宝物殿の元の建築「台徳院殿霊廟」のポストカードをもらいました。日光東照宮のプロトタイプとなった大変壮麗な建築群だったそうです。

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狩野一信「五百羅漢図」
会期 :
●前期/2015年10月7日(水)~12月27日(日)
     第21幅~第40幅展示
●後期/2016年1月1日(金)~3月13日(日)
     第41幅~第60幅展示
時間 : 午前10時 – 午後5時(火曜日休館、火曜祝日の場合は翌日)
会場 : 増上寺宝物殿 →googlemap
住所 : 東京都港区芝公園4-7-35
料金 : 一般700円 ※詳細は美術館HPへ
交通 : JR線・東京モノレール「浜松町駅」徒歩10分
                 都営地下鉄浅草線・大江戸線「大門駅」徒歩5分
                 都営地下鉄三田線「御成門駅」「芝公園駅」各徒歩3分