いろんなゲストハウスに泊まって、マネージャーさんやオーナーさんと話していると、「もっと地元のひとに立ち寄ってもらいたい」とか「地元のひとと宿の接点となるようなイベントを考えている」と、よく聞きます。
宿が地域にとって必要な存在でありたいと、そう願うから出てくる言葉だと思う。
今回2日間の空き家活用ゼミで事例となった二つの物語、それは宿業として営業しているところではないのだけど、お話を聞きながら、宿のひとも参考になると思いました。

●「KYODO HOUSE」オーナー:近藤ヒデノリさん

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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●「タガヤセ大蔵」オーナー:安藤勝信さん

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このお二人は、自分たちの作り上げた空間を街のひとに使ってもらうことで、場所をデザインしてきたひとたち。

そして、自分のつくった空間で、街の人が主体的にイベントを企画してくれるまで場を育てた人たち。

●「KYODOHOUSE」

小田急線の経堂駅にあるオシャレな一軒家。
そのゲストルームを民泊で旅行者のひとに貸し出すだけでなく、地下のスペースをアートギャラリーにしたり、ローカルシネマにしたり、屋上でヨガ教室やったり、近所のひとと持ち寄りご飯会をやったりして、街のひとを招き入れている。その上、それぞれの人々がゆるく交差して、交流して、そしていつしか輪になってる。

近藤さんのお話で面白かったのは、たまたま旅行でご自宅に泊まっていたゲストの写真家さんが、話の流れからそのまま地下のスペースでイベントをしたという話。

きっと他にもそういったエピソードがあって、「流れでそうなったんだよね」を受け入れることができる、場所の器(実測的なことではなくマインド的な)の大きさを感じました。

★KYODO HOUSE
https://kyodohouse.wordpress.com/

★近藤さんのブログ
http://hidekon.hatenablog.com/

★せたがやンソン「暮らす人:近藤ヒデノリさん」
https://setagayansson.com/people/32

●「タガヤセ大蔵」

世田谷区大蔵にある、もとは木造賃貸のアパートを買い取ったところから始まった取り組み。
安藤さんのご家族の介護をきっかけに、ご自身で空間づくりに動き出しました。もとは6部屋の賃貸アパートは、現在、1フロアぶち抜きの1階をデイサービスの場所に、2階は子供のアートスペースと、ママさんのコミュニティスペースなどになっています。

安藤さんの話で面白かったのは、ご自宅を街に開いていったときの話。
暮れに、恒例の餅つき大会をしたいと地域のひとが企画したけれど、ご家族が亡くなったばかりの安藤さんは「今年は勘弁してほしい」と開催に反対したそう。
そうしたら「お前は反対でもいい。けどわたしたちはやる」と言い、結果安藤さんのおうちのお庭で餅つきは開催されたということ。

「イエ」をこえた瞬間だなと思いました。笑

★タガヤセ大蔵
http://www.oomishima.jp/publics/index/264/

★「つくりたいのは、地域との気持ちのいい関係。築30年木造アパートから生まれ変わったデイサービス施設『タガヤセ大蔵』」
http://greenz.jp/2015/07/10/tagayase_okura/

★空室だらけの築古アパートをデイサービス施設に再生。
「タガヤセ大蔵」が地域に生み出すものは?
http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00386/

お二人の話の共通点で、面白いなと思うのは、
「こうしよう!こうあるべきだ!」とガチガチに固めたコンセプトで地域とのつながりを形作ってきた、というより、

「こうなったらいいな」「こういうのがいいな」という、
オーナーのお二人が持つ ” ゆるいんだけどきっとぶれない哲学 ” のようなものが根底に流れていて、それがいまの姿になっているということ。

そして二人とも、「続けた」ということ。
それは、「こうじゃなきゃいけない」に縛られすぎていないから、その時々の状況を柔軟に積み重ねられたのかな、と私は思いました。
人とのつながりも地域のコミュニティも生き物、計画通りに育ってくれるとは限らない。
だから、「もしかしたら」の余白、だったり、「地域の人に埋めてもらう」余白だったり、あえて何物でもない「建物の一角」の余白だったり、

そういうものがあると、その隙間みたいなものに、地域が入り込んできて、
その場所が地域の一部としてデザインされていくのかな、と思いました。

自分だけで完成させない。
周りの人にお任せできる、そういう信頼を根底に持てるって強いなと思います。

「余白」は信頼なのですね。
そして家は開かれて、その後拓かれていくんだなと、思いました。

この二日間とてもいいインプットができました。
誘ってくれた商店会理事の方、主催のみなさま、講師のみなさま、ありがとうございました!

そして二日間の会場となった。旧柳沢邸のお庭、とてもきれいでした!

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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★世田谷の空き家活用ゼミナール
http://www.setagayatm.or.jp/trust/support/akiya/planning-study.html