箱根にMyおばあちゃんちができました。笑

「よく海外のゲストさんに『まる子の家みたい!』って言われるんです。笑」

そういって、柔らかい笑顔で笑うのは、箱根の温泉旅館街の奥座敷にあたる仙石の、ゲストハウス「ねんねこや」女将のれなさん。

ここは、箱根に最初にできたゲストハウス。各評価サイトのレビューがとても良く、ずっと気になっていたものの、仙石って何だか遠いイメージがあって行けてなかった。

ある日、「ここからすぐだよ」と教えてもらい、宮ノ下の街中にある「ホテル前」バス停から乗ったら、ほんの5分強だった。

そしてその数分で、箱根の観光地にはない、美しくのんびりした景観の場所にワープしてしまった。

★ねんねこや
http://hakone-nennekoya.com/

 

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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ねんねこやは、女将のれなさんと、れなさんのおかあさんが二人で運営されています。

確かに、庭付きで大きめの平屋の日本家屋は、まるちゃん家かサザエさん家か、と言う風情。
おかあさんが台所に立って、水仕事をしている姿は、もう昭和の日本映画のような懐かしい、ノスタルジックな郷愁を誘います。

 

 

 

予約を取っているのは金曜〜日曜。つまり週末だけお客様をとっています。

というのも、レナさんは本業で建築関係のお仕事をしている傍らで、この宿を始めたからです。

「自信がなかったの、最初。
お客さんがきてくれるか、ちゃんと続けられるか、これで食べていけるのか。」

そうお話しされている表情は、評価サイトで高得点を出し、ベッドがお客様でいっぱいになる宿のオーナーとして、自信にあふれたようなものではなく、等身大の働く女性そのもの。

「ちゃんと食べていけるか」

これは、お仕事が夢物語ではなくて、現実に自分を生活させてゆくものだと分かっている、社会人としての自覚のあるひとの発言だと思う。
そして、私はとても共感できました。

 

じつは、この建物、最初はボロボロの空き家でした。
レナさんは、この建物を見た瞬間「ここだ!」と思ったそうです。

 

 

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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最初は別の目的でおかあさんが買ったこの家を、レナさんが賃貸する形で宿として経営。

週末に箱根に通い続け、本業のお仕事と並行しながら、一年かけて改装。

幸いおかあさんも建築関係のお仕事で、現場作業のことに明るかったので、
「こうじゃないかな」「こういう方法もあるね」
と話しながら自分たちの手で改装できたのだそうです。

古いガラスをそのままに、レトロな照明もそのままに、砂壁を丁寧にはがして和室を明るい印象に、前の家にあったインテリアと新しく用意したインテリアがしっくりと仲良く並ぶように。

 

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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「もともとこのままだったのじゃないかな」

と思うほどに、この建物に馴染んだ改装をしてらっしゃいます。

では、施設紹介へ!

 

 

●コモンスペース

コモンスペースというか「居間」です。笑
6畳ほどの畳のお部屋は、早雲山が眺められる、眺望の良さ。

晴れた日の朝は、箱根のロープウェーが光に反射し、山と山の間をキラキラしながら通っていくのが見えます。

これ本当に美しい眺め。

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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「猫を飼おうと思ってたの。だって、似合うでしょう?この部屋に」

とれなさんがいうように、「ねんねこや」の名前のイメージとしてぴったりの「居間」です。

ここで、夜はおつまみを広げて、コンビニで買ってきたビールで乾杯!みんなでお酒を飲んだりおしゃべりしたり。
朝は、のんびしりた時間の中、朝食を食べます。

 

●ベッドルーム

和室とドミトリールームがあります。
和室は6畳くらいの大きさの個室です。純和室。

 

 

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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調度品も和室のお部屋に似合うような木彫の鏡台があったり、「四角じゃなくて丸が良かったの」とれなさんがこだわったちゃぶ台があります。

おばあちゃんちにあるような座布団の柄、寝具のシーツ類も和風で、日本のごくごく普通の家にホームステイに来たみたい。それくらい、日本らしい生活感のあるお部屋です。

ドミトリーは男女混合のミックスと女性用ドミトリールームがあります。両方とも、2段ベッドが2台。

泊まったのは女性用のドミトリールーム。朝日が差し込み、窓からお庭が見えるお部屋でした。

室内には、大きな鏡、鏡の前に棚、棚の下にキャリーケースを置けるスペース。
マックス4人なので、音も気にならずに過ごせました。

 

●バスルーム・洗面

お風呂は、かわいい水色のタイルのお風呂。
おそらく築年数は結構あると思うのだけれど、本当にお風呂はきれいにされています。

 

 

洗面台は2つ。正面には大きな鏡。鏡の枠が、すぐそばの窓枠と同じ色になっていることや、全体の雰囲気に馴染むような色合いのブルーの収納棚。

私が泊まった日、週末で多くのお客様が宿泊していたのに、洗面の器のまわりが水浸しということがほとんどなかった。

 

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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でも、それもそのはず。

お手洗いに行った時、ちょっと廊下を通過したとき、「洗面所に人の気配がするなー」と思って見てみると、レナさんやおかあさんが、まめに拭いている。

こういうのって、本当に女性がいる宿の良さだと思う。

そして、こういうところが、ゲストへの愛なんだと思う。

●キッチン

で、台所もそう。まるで実家のお母さんみたいに、気づいたらおかあさんが台所にいて、何かしてる。笑
れなさんのおかあさんなのに、「おかあさん」って呼びたくなる。

 

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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キッチンは、まさに「家庭の台所」といった雰囲気。
人によっては、台所のこの雰囲気が好きで、食事も、お酒飲んだりも、全部ここでする人もいるそうです。
なんか分かるなぁ。

基本的な食器類はもちろんありますし、自炊ができるような一般家庭で使うものはほぼあります。
フリーで飲める紅茶、コーヒーなどあります。

 

 

建物の内装全体に言えることなのだけど、
何も気に留めなければきっと見過ごしてしまうくらいに、ごく自然に、インテリアや内装の色合いの調和が取られています。

丁寧に丁寧に作ってこられたのを一番感じるところ。

 

Copyright:Yuri Ito @yurio_it

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「この窓に使われているガラスって今はもう見ないですよね。作られていないんでしょうね」

「そうなんですよ。今はこういうガラスがなくて、このおうちにあるそういうもの、できるだけ残したいと思ったの」

と、本当に大切そうにガラスを見ているれなさん。そしてお母さんも。

模様が彫られている、昔の日本家屋にあるような窓ガラス、今はもう新しいおうちでは見ることがないと思います。

こういう職人さんが作るようなものが、昔の日本の家にはたくさんあって、ねんねこやにいると、そういうものが日本から少しずつ無くなっていることに気づきます。

 

 

ゆっくり、自分なりに、自分が大切に思うものを、自分のやり方で大切にする。
それが、れなさんのお話から感じられる、私にとっての彼女の印象。

そして、それは

「自分のペースでいい」

と聴かせてもらっているようでもありました。

 

 

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れなさんから、

「楽しいと思えるペースってあると思いますよ。それでやってくのがいいと思う」

「やるかやらないかじゃなくて、やりながら考えてもいいと思う」

そういう言葉をもらい、とても助けられました。
それを実際にやってきたレナさんだから、言葉に重みもあったと思います。
れなさん、改めてありがとう。

リラックスした自分にかえる、そんな時間が生まれるのも、ここが「おうち」ぽいからなんだと、思います。
「ねんねこや」で「ネコの時間」。

みなさんもぜひ、箱根にある第二の「おばあちゃんち」で都会の疲れを癒してくださいね。

★ねんねこや
http://hakone-nennekoya.com/